【完結】全1巻で面白かった漫画まとめ60作
こんにちは。トクタです。
タイトルの通り今までで読んだ漫画で良かったのをまとめていきます。
本当は完結済みの作品をズラーっとランキング形式にしようと思いましたが、単巻ものや短編集があまりにも多いので別枠でやることにしました。
社会人になっても漫画を辞められなかった悲しいオタクの軌跡です。それではどうぞ。
1. 虫と歌
市川春子さんの短編集①
まずは市川春子さん。「宝石の国」で有名な作者ですが、その緩い空気感と高いストーリー構成力は短編でも生きています。
オススメは久々に叔父さんの家に行ったら植物の細胞でできた彼女(可愛い)が家事をしてた「星の恋人」。
植物学者のおじさん(この頭が凛々しいお方は金剛先生ではありません)が勝手にいとこの細胞を使って女の子を作った。
全体的に字が多くて読みづらいと感じるかもしれませんが、それだけに濃い。世界観を飲み込むまでに時間がかかります。
戯けながらも悲しい過去を背負ったキャラクター達を存分に愛してくれ。
2. 25時のバカンス

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)
- 作者: 市川春子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/23
- メディア: コミック
- 購入: 17人 クリック: 708回
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市川春子さんの短編集②
うーむいきなり2強を出してしまった。とりあえずこの2冊だけでもお手にとっていただけたら幸い。
オススメは学者の姉と写真家の弟が久々の再開を果たす「25時のバカンス」。
海辺を舞台に弟の誕生日パーティー。そこには予想もつかない"サプライズ"を用意した姉が待っていた…というお話。
まあこの1冊に関しては全エピソードが最高なんですが
特にこの25時のバカンスは!!
ああ!!
…物語の中盤や終盤に爆弾事実が投下され、それを踏まえて冒頭から読み返すと、感情ごちゃまぜになって発狂しちゃう。
市川春子さんに一生ついて行く。
3. なくてもよくて絶え間なくひかる
並木くんの心の中の、大切な存在。その名は「ゴールデンユキコ」。ところがある日、五卯留伝有木子を名乗る少女と出会った。君は僕の想像ですか? 現実ですか?ここにいる僕は――。鮮烈なる才能・宮崎夏次系が描く、新時代ボーイミーツガールストーリー。
私が初めて読んだ宮崎夏次系さんの作品です。冒頭からいきなりこの調子で、それはそれは訳がわかりませんでした。
このあと普通に「数ヶ月前…」と話が始まります。トップギアから更に外れた、読者がギリギリついていけるくらいの、漫画のテンポ。
薄っぺらいはずなのに、勝手に心が泣いてしまう最終回に圧倒される。
4. 僕は問題ありません
宮崎夏次系さんの短編集。
さて、ここからは宮崎夏次系ラッシュです。
オススメはロクに話したこともない人といきなり結婚する「地図から」。
平和な夫婦って理想だよな。
宮崎夏次系さんの漫画って話が面白いな、あと女の子が可愛いな、となる基本の1冊。
5. 変身のニュース
宮崎夏次系さんの初期の短編集。
絵がちょっと荒いですが話のキレはいつも通り。オススメは落ちこぼれ社会人が軽いノリで自殺に追い込まれる「昼休み」。
他にも人の生死に関わるエピソードが多く、著者の中でもひときわ重い空気を放つ1冊。
友達に貸しましたが良さは理解してもらえませんでした。なんでや。
6. 夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない

夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない (モーニング KC)
- 作者: 宮崎夏次系
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: コミック
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宮崎夏次系さんの短編集③
最後です。これは何といったものか。ネタ切れのような迷走してるような感じの、宮崎夏次系さんの最新の短編集。でも代表作が少な過ぎて定期的に読み返してしまう。
オススメは優しいはずの妻に対して負の感情が芽生える夫の日常「毎日」。
ちょっと気持ちがわかってしまう。苦労を知らない人間を懲らしめたい感情。
僕は問題ありません同様、絵がとても可愛いです。
7. ゆれつづける
松本次郎さんの短編集。
あの傑作漫画フリージアで知られる(え?知られてない?読んでくれ)松本次郎さんの短編集です。著者の作品は大体読みましたが単巻で刺さったのは本作と次に紹介する作品くらいでした。フリージアが強すぎる。
オススメはガスマスクを被った兄妹「サンポーラとクレゾーラ」。
まあ正直おもしろいの観点で見ると評価はかなり低いですが、松本次郎さん持ち味のセックス&バイオレンスに加え、サイコなユーモアが遺憾なく発揮されてる1冊。
エロくて珍しい漫画が読みたいって方にオススメします。ハマったら「善良なる異端の街」もぜひ。良いぞ。
8. べっちんとまんだら
ゾンビ×女子高生×戦車×杉並区!?生と死の中継点である河川敷には、死んだ杉並区民の霊魂が集められる。とあることから、女子高生のべっちんとまんだらは、河川敷の管理人助手としてゾンビ退治をするようになるが――。ポップでキュートでエロくてグロい!
ポップでキュートでエロくてグロい…確かにその通りなのですが、個人的にホラーを感じた1冊です。
まずまんだらのキャラがキモすぎる。
スキヤキを手づかみ…。
ストーリーは河原でゾンビ退治ですが、そういうの印象に残らないほどキャラが強烈すぎた。
9. ひきだしにテラリウム
ショートショートという言葉は小説に対してしか使われないようですが、2ページで終わってしまう話もあり、短編集とは呼びづらい作品。
オススメは会話を音ゲーに例える「パーフェクト・コミュニケーション」。
多彩なユーモアが盛りだくさんで、なんと1冊に30作も収録されています。
本当にどこを開いても面白い。
なんかでかい賞とか獲ればいいのに。
10. 竜のかわいい七つの子
九井諒子さんの短編集。
こちらは1話の長さがそこそこある短編集です。
オススメは探偵気取りの大学生が超能力が使える家族の家にお邪魔してくる「犬谷家の人々」。
普通は探偵が主役ですが、メンツが濃すぎて完全にモブに降格しています。やっぱり発想力が秀でていますね。
他にも人魚が人間の生活の近くに存在する話とかありますが、河童のクゥを思い出してホッコリしました(何の話)。
11. 盆の国
お盆に帰ってくるご先祖さまの姿が見える女の子・秋。 会えないはずの人たちに、もう一度会える楽しい季節。
このままずっとお盆だったらいいのに…
ふと頭に浮かんだ妄想は、なぜか現実になってしまう。 同じ一日を繰り返す町の中で出会った謎の青年・夏夫と、 誰も知らない不思議な冒険がはじまる。
女子中学生と幽霊が織り成す夏が終わらないループもの漫画。平和な街でのんびり生きるキャラクター達が可愛い。
スケラッコさん初見だった私は優しい絵柄にすっかり癒されていましたが、ホラーなシーンで突如牙を剥く才能に震え上がりました。
起承転結とか途中の冒険ファンタジーっぽい見せ場とかしっかりしていて、映画化しても映えるなと思いました。実写化ばかりでなくて「聲の形」のようにアニメ映画化したらどうでしょう。関係ないけど。
12. 大きい犬
スケラッコさんの短編集。
盆の国にも引けを取らないほど面白い短編集です。なんと毎回話によって絵柄が変わります。超器用な作家さんですわ。
全話それぞれの良さがありますが取り敢えずオススメは大きい犬。
「犬語しゃべれるんだね」って、
犬語あるんかーい
犬さんと喋れる世界ですよ!他にも優しい話多数でオススメしがいのある1冊です。
13. 崖際のワルツ
椎名うみさんの短編集。
ここらで作家さんごとの特集から外れます。
「青野くんに触りたいから死にたい」でお馴染みの椎名うみさんですがまあ作風が怖い。
オススメは不登校になった中学2年を取り囲む大人たち「セーラー服を燃やして」。
追い詰められた人間の目がギラギラしていて、見てて心がざわつく1冊。呼吸が苦しくなる。
14. 夕凪の街 桜の国
こうの史代さんの短編集。
これは読んでおいた方が良い。
と思ったりします。
オススメは戦後に貧乏でささやかな日々を送る女性の話「夕凪の街」。
僕は「この世界の片隅に」の良さはあんまりでしたし戦争の怖さを漫画で学ぼうとも思っていませんが、単純に作品として好きです。
ぜひご一読を。それ。買え。
15. 大金星
黒田硫黄さんの短編集。
良い意味でアホらしい話が多く、肩の力が抜ける1冊。独自のセリフ回しに癒されまくってくれ。
オススメはお隣に引っ越してきた謎の生物「ミシ」。
ミシかわいい。
画面いっぱいに〇〇が溢れる迫力満点のオチもついてます。他にもバーで餃子食べる話とかイカしてて好きだなあ。
16. 殻都市の夢
鬼頭莫宏さんの短編集。
大好きな漫画家さんです。単巻でオススメできるのはこの1冊か。「エロティクスF」という雑誌に掲載されていて、やたらと性描写が多いのが特徴です。
オススメはゾンビと化した夫が力を振り絞り妻に会いに行く「生死者の聲」。
警察官(?)のような立場の男女を視点に話が展開されていきます。
つかみどころのないキャラクターと緻密な表情で形成された鬼頭莫宏ワールドへの第一歩としてどうぞ。あと性癖やばい。
17. なかよし団の冒険
西村ツチカさんの短編集。
僕が西村ツチカさんを読み始めたきっかけの1冊。ユーモアが凄まじいですが、逆にいうとユーモアしかない。
オススメは助けた〇〇に恩返しされる「おんがえしの夜」。
僕としては話よりも絵を見て欲しい。めっちゃオシャレで可愛いっす。
18. 南くんの恋人
高校生の南くんの恋人・ちなみが、ある日突然小さくなってしまった! 南くんは自分の部屋でちよみと一緒に住みはじめるのだが……。
南くんとちよみが繰り広げる、少し甘く、ちょっぴり切ないラブ・ストーリー。3度ドラマ化された、漫画史上燦然と輝き続ける青春恋愛ドラマ。
うーん何言ってもネタバレになりそうですが、取り敢えず最後までは絶対に読むべき漫画。
ハム太郎サイズの彼女とイチャイチャしたりしなかったりする青春漫画です。
「いや彼氏が全然かっこよくないやん」
とか、そんなことはいいのです。多少退屈でも最後まで読むのです。
僕は大好きな最終回でした。
19. セッちゃん
セッちゃんのセはセックスの「セ」。
誰とでも寝てしまう女の子・セッちゃん。
誰にも興味を持てない男の子・あっくん。交わらないはずだった二人の生活と人生。
でも、理不尽な「暴力」が世界を分断して。
二人は、「こっち側」で肩寄せ合って。
そして、最期はとてもあっけなくて。
著者初の漫画らしいのですが、なんでこんなに最高なんだよと思った。絵柄が画面が可愛くてさ。コレクションケースにいれて保管したい。
内容も変わった女の子の短い大学生活とシンプルにして良き。
冒頭でオチが語られてるのですが、僕も含めて記憶に残らずに読み進め、最後にもう一回驚くパターンあると思います。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
そろそろ20ですね。
1番面白かった短編集はこれでした。
20. 夜とコンクリート
町田洋さんの短編集。
町田洋さんは良い。
まあこれ俺のブログだし。いくら褒めても良いだろ。
まず最初に読んだ時は「星新一の小説の挿絵みたいだな。本当に漫画として成立するのか」と思ったがそれが逆に良い。普段より強めに感じる吹き出しの存在感、セリフの重さ、音が染み込むような静寂。全ては趣き。
漫画として最高峰の次元を。
オススメは「夏休みの町」。
大学生が夏を満喫する話です。
まあそれだけで終わらないのですが。この次の「青いサイダー」も胸が苦しくなるほどステキ。保証はしませんがいまのところ1番好きな短編集です。
21. 惑星9の休日
町田洋さんの短編集。
こっちも良い。
ああそうさ最高なのさこの作者は。オススメは0コンマ単位の凝縮漫画体験ができる「午後二時、横断歩道の上で」。
上で語り過ぎだから長くは書けない。「夜とコンクリート」よりこっちの方が良いって人もいるレベルなので、どっちも買うしか道はない。
新連載も単行本を楽しみにおります。
22. きっと可愛い女の子だから

きっと可愛い女の子だから (アクションコミックス(月刊アクション))
- 作者: 柳本光晴
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: コミック
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柳本光晴さんの短編集。
「響-小説家になる方法-」で知られる柳本光晴さんです。この人の漫画は「つまらん」「超面白い」と読者層が分離していて一概にオススメしづらいんですよね(僕は後者)。まあするけども。
顔面ゴリ押しのラブコメも嫌いではありませんが、駆け引きのある恋愛漫画が好きな僕は大変おいしくいただけました。
オススメはボディタッチで相手を意識させようとするJKと一向に踏み込めないメガネ「ギャル子さん」。
告白までの道のりを丁寧に用意してくれるギャル子さんと、じれったいメガネ。
上手くいくかどうか微妙な恋愛が多く、ピリピリした空気がすこでした。「女の子が死ぬ話」よりこっち派かなあ。
23. 我らコンタクティ
冴えない会社員をしているカナエは、小学校時代の同級生中平かずきと再会する。彼はナゼか一人でロケット開発をしていた。かずきの驚くべき目的を知り、カナエは思わず脱力!だけど、二人は一緒にロケット開発をすることに!カナエとかずきが小学校の時に見たUFOも絡み、思いもよらぬ方向へ物語は進む!
いくつかの短編漫画をアフタヌーン誌上に発表し好評だった森田るい氏が満を持して放つ初長編漫画!
近所の同級生が家でロケット作ってたワクワク漫画。
初見は図々しくケチくさい主人公が好きになれず、苦手な作品と勘違いしておりました。
でもこの性格で話を引っ張っているんですね。
西村ツチカさんと通ずる、画面作りの美しさが窺えます。みんながみんな言うことだと思うけど、ラスト数ページがね。とても良い。
未知なる“上空”に想いを馳せる1冊。
24. バイナリ畑でつかまえて
いま、ここにある未来/明日、いつもの気持ち。
AI、スマホ、SNS・・・夢見たテクノロジーはすぐそばにあるのに、心は小さなことに悩んだり泣いたり喜んだり。『AI(アイ)の遺電子』(「週刊少年チャンピオン」連載)の気鋭の漫画家が描く、デジタルと日常が溶け合う22の物語。
ネットで話題を呼び、Kindle版が「Amazonコンピュータ・ITランキング」で1位を獲得した噂のSFコミック、加筆して待望の書籍化!
山田胡瓜さんの短編集&読み切り。
AIの遺電子で知られる山田胡瓜さん。すいませんそっちは未読なんですが、機会があれば。
本作は短編集というよりは2〜3ページのショートショート。SNSや現代機器が絡んだ話が中心で、ちょっと笑えてちょっと切なくなる。
まあ僕はミクシィ世代でないので分からないのですが(中学生の時はアメーバピグが流行ってたような。そもそもパソコンよりスマホの方が馴染みがある)。
常に更新されていくデジタル機器について少し省みることができる1冊。面白いかどうかで見ると…漫画擦れしてる人にはちょっと難しいかも。女の子は可愛い。
25. 零落
浅野いにお、衝撃の新境地へ--
ある漫画家の、脇目もふらず駆け抜けてきた連載が終わった。
久しぶりに立ち止まった自分に残されていたものは、 残酷なまでの“空虚感”だった。
大切な存在ほど信じ切れず、束の間の繋がりだけに 縋り始める日々―――
漂流する魂が着地した時、男の本当の姿が現れる。浅野いにお、極限の最新作。
ヒット作を描きあげた漫画家のその後の話。
浅野いにおさんも「最高!」と「ちょっと無理」で読者層が分離している難しい作者さんなんですよねえ。僕は後者ですが、前者であった時期も少しあったため、前者の気持ちもわからんでもない。
そんな立場の読者ですが、零落は結構好きな作品です。著者特有の鼻に付くフレーズ祭りは通常運転として、ラストがお気に入り。
作り手が読者を馬鹿にしだしたら終わりだろ
そうか…?そもそも作り手が読者を馬鹿にしてる漫画って…具体的にどういうものを言うのか検討がつかないぞ…。と深く考えてはダメです。全てを信じて鵜呑みにしていかないと楽しめないのが浅野いにお作品。
とまあアンチ側の意見が出てしまいましたが、読ませる力はなかなかのものです。あとショートのヒロインが好みで可愛かった。終わり解散。
26. 死刑執行中脱獄進行中
荒木飛呂彦さんの短編集。
荒木飛呂彦さんは短編も面白い。
たまにジャンプに載る「岸辺露伴は動かない」が短編集ではぶっちぎりですこなのですが、2巻が出ているのでこの記事では除外。
オススメは表題作「死刑執行中脱獄進行中」。
岸辺露伴や吉良吉影と違う、ジョジョキャラクターでない主人公はとにかく展開が速い。
話が始まったと同時に怪奇も始まっている、圧倒的なスピード感で転げるように話が進んでいきます。
やっぱり天才なんだよなあ。
27. ネガ
はらださんの短編集。
BLはそんなに知らんのですが、読んだ中では1番面白かったやつ。
絵が可愛い。コマ使いが上手い。ヤるだけで終わらない特別な人間の関係性。詩的な文章も組み込める。と、漫画としてとてもとても上質。
オススメは記憶をなくした恋人との苦しい日々「リスタート」。
男と女じゃ生み出せない、BLならではの切なさが魅力です。ちなみに僕は男同士が突き合うシーンは薄目で見ております。チ○コがやたらリアルな作者さんですよ……!はい……!!
28. 宇田川町で待っててよ。
「どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない」純粋かつ扇情的な、女装男子との恋渋谷区宇田川町。人通り多い街中で、同級生・八代(やしろ)の女装姿を目撃してしまった百瀬(ももせ)は、その日から毎日、「あのこ」のことを考えてしまう。一方、そんな百瀬の様子に戸惑いつつも、熱の籠もった目線をそらせない八代は渡された女子高の制服に袖を通し、彼の前に立つが---。
臆病な女装男子と、一途すぎる男子高校生の不器用で青いラブストーリー。描き下ろし収録!
女装が趣味の男子高校生に恋をした同級生の話。
BLって結構バンバンとセックスをするというか、求められたら「はいどうぞ!」と言わんばかりに受け入れが早く気持ちよくなっちゃう作品が多い気がします(まあ男性向けエロなんてほぼそれですが)。
そんな中でも珍しく同性に迫られる怖さを描いているのが本作。
「力がはいらなかった」
「内臓を直につかまれてつぶされてるみたいだった」
など、まあそうだよな!と思える捕食される側のセリフに共感。
それでもちゃんと進展していくのが面白いところです。苦難を乗り越えるタイプの恋愛ものとして無理なく成立してる(気がする)。
29. 渾名をくれ
ジョゼは おれの 神様だった。
おまえを独占するなんて、
どんなに望んでも叶わないと思ってた――。有名イラストレーター・天羽(あもう)と超人気モデルのジョゼは同居中。
天羽は美しいジョゼを愛し、ジョゼが他の男と寝ても、帰らない日が続いても、召使いのように従順に受け入れる。
「愛されるより愛したい」。それが天羽という男だった。
しかし、ジョゼの恋心が自分に向かっていることを知り、天羽の心中は――。愛されることを望まない絵描きと、
対等な恋人になりたいスーパーモデルの
純粋すぎるラブストーリー。
あらすじ通り、絵描きと俳優という、立場の異なる2人のラブストーリーです。
互いにベクトルの違う愛情を抱いていますが、神聖視に近い異常な執着を持つ画家・天羽の内面がだいぶヤバイ。
途中から第三者の介入があるものの、この2人の関係が侵食されることはなく、見事に決着まで持っていきます。
終盤の感情をぶちまける鬼気迫る描写がかなり好き。
30. 不死身のパイセン
決して帰り道では読まないでください―――
突然の台風に襲われた街に住む2人の女子高生は、
毎日、部活帰りに謎の怪異に襲われるようになってしまう。
しかも何故か狙われるのは先輩の方ばかり。
しかし、毎回、無事に生還する先輩。
まるで何かに取り憑かれているかのように――。
下校中に始まる数々の怪奇の話。
マンガワンという無料漫画アプリ発信のホラー漫画です。新連載の1つとしてテキトーに追っていましたが、恐るべき才能秘めた作者であった。うん。
少し絵が不気味なギャグコメディという見解で読み進めてOK。しかし中盤〜終盤で漫画のカタチが変わっていく…。
「ちょい足し」。
という機能がマンガワンにはございまして、ポイントを使って買えるオマケ漫画なのですが、最終話のそれがとにかくやばかった。
ループする画面。画面が振り出しに戻るために上がる血圧。息を忘れて漫画に没頭した経験はそう多くないです。
とかなんとか推してるくせに電書販売の漫画は買ってねえので「ちょい足し」が収録されてるかはわかりませんが。とても良い漫画でした。
31. 山下和美【短編集】
山下和美さんの短編集。
山下和美さんご存知でしょうか。僕は「不思議な少年」2巻で過去1で号泣した経験を持つもので、気まぐれに短編集にも手を出してみました。
率直に良かった。現在59歳(ウィキ調べ)になられるようですが、レトロな雰囲気で綺麗な線と綺麗な瞳を描かれる。定期的に補充しておきたい魅力です。
ツウぶったことを言わせてもらうとこの人の描く「手」がすごい。見事に感情が乗っていて、場の空気が脳に伝播する。
オススメは家族の温かさがわかる「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」。
まだ言うけどやっぱ絵がいいよな。とても。
32. 春と盆暗
好きな子ができた。同じ職場の女の子。それも誰もが認める「いい人」キャラ。しかし僕は、彼女のとんでもない“頭の中”を知ってしまう!(『月面と眼窩』) 月刊『アフタヌーン』でデビューを飾った2017年最注目の新鋭、熊倉献(くまくら・こん)待望の初コミックス。さえない男子たちが予想外のドラマをつむぐ、4編の恋愛譚を収録。
熊倉献さんの短編集。
恋愛モノ好きな私ですが、「これは上手くいきすぎ…」と思ってしまった。でもたまにはそれでもいいじゃない。
オススメはバイト先の可愛くてイタイ先輩「月面と眼窩」。
なんと、冴えない男子が美人で変わり者のお姉さんと自然にお近づきになれるんですねー。
羨ましいですねえ。
とまあ僻みはここまでとして、絵がスラっとしててカッコイイですし、漫画で表現される妄想と現実の出入りもとても面白いです。
類を見ない「妄想世界」の魅力。ぜひご一読を。
33. GOGOモンスター
僕たちにはもう見えない。彼にはそれが見えた──コミック界を震撼させた、鬼才渾身のオール描き下ろし450ページ!! 豪華ケース入り!!
変わり者の小学生と転校生のちょっぴりホラーな校内冒険ストーリー。
ここで松本大洋さんの登場です。ピンポン、Sunny、その鉄板に次いで僕が大好きなのが本作。
展開がややスロー気味ですが、廊下や下駄箱など背景が凝っていたり、小学生の何気ない生活が綿密に描写されていて、その空気感をじっくり堪能することができた。
著者の本領である「心の闇」や「自分の弱さ」との葛藤も存分に表現されていて、上手く完成された1冊となっています。
不意に映画化とかされそう。ハモニカのシーンが映えるだろうなあ。
34. 日本の兄弟
松本大洋さんの短編集。
ファンの方々は短編集といえば「青い春」でしょ、と言われてしまいそうですが、こっちも良い。
おちゃらけたアイディアが多く、誰にも表現できない世界観を突っ走った1冊。
オススメはゴリラとクマのバイクレース「ダイナマイツ GON GON」。
クマさん可愛いよ。
35. R
カネコアツシさんの短編集①
カネコアツシさんはちょくちょく読んでますが、短編集がなにかと1番好きかもしれない。
マイルドなタッチでバーストする暴力と性欲とドラッグ。松本次郎さんとはまた違った勢いがあります。
オススメは独り言が止まらない夜のコンビニ店長「コンビニエンス・フィクション」。
個性は"消費"によってしか表現できない。なるほどなと思いました。
他にも薬物依存のウェイトレスの話とかも結構好き。読み方は左→右です。
36. ATOMIC?
カネコアツシさんの短編集②
僕が著者に初めて触れた作品。他にとらわれない自由な形態をしたページが多く、1つ新しい世界を構築してくれた1冊。
オススメは絵本のように第三者の目線で話が進んでいく「LOGiC?」。
平凡、平凡、平凡からの異常を語ります。
残りの短編も頭ひとつ抜けた世界観の話ばかりで、読んでて退屈しないと思う。僕は買ってないけど新装版「Comic?」の方が収録作が多いらしいので、今から買う人はそっちがいいのかな。
37. 鶏肉倶楽部
中村明日美子さんの短編集①
お次は中村明日美子さんです。BL、GL、オネエ系と、様々な性の組み合わせを網羅されている、変態の読者には堪らなく神々しいお方であります。
今しがたamazonレビュー見たら「浮世絵みたいで好きじゃない」と書き込みがあり「いやいやいや」と思いましたが、妖艶な画風が何よりも魅力。脳が痺れる。
オススメはなぜか普通のエロ漫画っぽい展開になっている「オタク2000」。
異彩を放つ作品ばかりなので、逆に新鮮だった。もちろん他も良いです。特に表題作「鶏肉倶楽部」なんかは…ニワトリかわいそう。
初期短編集なので作者初見の方はどう感じるか想像できないな。僕は「2週間のアバンチュール」から入りました。
38. 2週間のアバンチュール
林間学校でおませな少女・ローズと同室になったアンジェ。わがままな少女にうんざりした彼女がしたこととは……。子どもと大人で揺れる少女を毒気たっぷりに描いた「ばら色の頬のころ」番外編「彼の左目」など、初期の短編から最新作まで全4作を収録した傑作短編集。
中村明日美子さんの短編集②
「全ての性の組み合わせを網羅」と言いつつ男性向けエロばかり紹介して申し訳ないのですが、良すぎるから仕方ないんだ許してくれ。
特に小さい女の子が酷い目にあう癖を持ち合わせてる方は目が回るほど刺さると思います。僕はそこそこなんでも有りなのですが、変態のツボを理解してる著者に感服した。
というわけでオススメは少女たちの林間学校「2週間のアバンチュール」。
エロ目的の話ばかりしても締まらないので補足を入れると、後半のBL「彼の左目」は単巻ものの「ばら色の頬のころ」の番外編、さらに「ばら色の頬のころ」は全3巻「Jの総て」の番外編なので、読む順番に注意してください。
僕は全部逆からいって混乱した。
39. 花ボーロ
ふんわり、ほんわか、ぬくぬく…、ひとの気持ちの温かさを、そおっと伝える新鋭作家の連作短編シリーズ。表題作「花ボーロ」を含む全10作を収録。
岩岡ヒサエさんの短編集。
全て学校で生きる学生や先生たちのお話なんですが、精神不安定の思春期とそれぞれの向き合い方が描かれていて、懐かしく穏やかな気持ちになれました。
オススメは何気ない日々の重要性に大人になってから気づいた「学びの庭」。
全てを打ち込んだ部活、勉強、ダラダラ過ごした放課後、自分は何者なのか、親への反抗心など、誰もが一度は通った戻れない過去。
なかなか良さを説明するのが難しい1冊ですが、忙しい生活に一息つきたい人に届いて欲しい。
さて…お次は40です…。
みなさんは「好きな漫画家さんは誰?」
と聞かれた時、どう答えますでしょうか。
僕は市川春子さん……
と、この方なんですね。
40. サイコスタッフ
「努力に勝る才能なんかない」と信じる、柊光一。ある日、彼のもとに「惑星ルルイエ超能力部隊」のスカウトと名乗る女性が現れた? 実は光一は、圧倒的才能を持つ「Bクラスサイキッカー」だという……!「キミを宇宙の英雄にしてあげる」
大学受験で忙しい時に宇宙人からお仕事のスカウトが来た話。
水上悟志さん好きなんですよねー。長いですけど5作くらい続きます。勘弁。
さて、サイコスタッフですが、著者お得意のボーイミーツガールのラブコメっぽい導入になっています。
そして超能力×宇宙というなんともロマンが光る要素。とまあ、設定は大きく、しかし軸は絶対にキャラクターからブレないのが水上作品の強みです。
ネタバレしたくないので言えませんが、ラブコメの作風から王道少年漫画の熱い展開への持っていきかたが非常に上手い。
無料で読めるのでチェックしてくれ。
サイコスタッフ - 水上 悟志 | マンガ図書館Z - 無料で漫画が全巻読み放題!
41. エンジェルお悩み相談所
「天使さまお助けください」ある公園のベンチでそう3回唱えると本物の天使が悩みを聞いてくれるという。しかもその天使とは、白い衣の○○○○だった!?ちょっと(?)おかしなお悩み相談所を描く日常ファンタジー!!
悩める人々の問題を解決したりしなかったりする公園の天使の話。
こちらはゆるっとコメディ。よくある探偵モノの漫画のようにガチな問題は発生せず、人生に少し行き詰まった人を優しく見守る(特に背中を押したりはしない…)作品。
実は天使の正体はおっさん。各話登場キャラクターの人生においてちょっと大事な日を眺めているようで、たまに感動する。
短編なりにオチが付いていて、またいつか続きを待ってしまうような1冊。
水上悟志さんの意表を突いてくる漫画の形も大好きですが、本作のように「自分の手持ちで満足する」ということの重要性を説いているところに心底共感したりする。
42. げこげこ
水上悟志さんの短編集①
こちらは初期の短編集になります。作画が少し古く感じるかもしれませんが、それなりの良さもあります。
僕が1番好きな短編集は20で紹介した町田洋さんの1冊ですが、
2番目に好きな短編集が本作。
オススメは百鬼町という田舎の村に訪れた少女の話「龍と少女と百鬼町」。
他にも
彼氏がカエル、自分の中の男の人格に振り回される二重人格の女子大生、殺し屋と除霊師、巨大ロボで敵から村を救う女子高生…etc。と、コメディ中心の面白い話が多すぎて
選べない。
全部オススメっす。
今のSF全開の魅力も良いっすけど、この頃の短編集はありきたりな日常っぽさがあって堪らないんですよね。ぜひぜひ。買って。
43.
宇宙大帝ギンガサンダーの冒険

宇宙大帝ギンガサンダーの冒険 水上悟志短編集 vol.3 (ヤングキングコミックス)
- 作者: 水上悟志
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2014/08/23
- メディア: Kindle版
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水上悟志さんの短編集③
②はどこにいったんや!という話ですが、「ぴよぴよ」はあーんまり好きではないんですよね。好みってあるよね。うんうん。
3冊目である「ギンガサンダー」はふわっとしたメルヘンチックで可愛いお話から"絶望"を見せつけられるお話までさまざま。
オススメは少年の魂を使って復讐を企てる怪しい女「醒誕祭」。
水上作品トップレベルのグロさに信者である僕は大興奮した。他にもなんとなんと「惑星のさみだれ」の外伝まで収録されてるんですねえ。すげぇや。
44. 放浪世界
水上悟志さんの短編集④
去年の秋のに発売された、著者最新の短編集です。全6巻で発売中の「スピリットサークル」を既読の方はわかると思いますが、近年水上悟志さんのSF方面への進化が凄まじい。
オススメは宇宙人にさらわれたのを機に自分の世界の驚愕の事実を目の当たりにする少年「虚無をゆく」。
僕のツイッターのタイムラインを騒然とさせた(それはすごい!)大傑作。
まずもって設定を思いついた作者に脱帽し、作中の脅威である"怪魚"のデザインの不気味さに震撼する。成長の止まらない漫画家さんです。
他にも魔法のランプを拾った疲れたサラリーマンや、妖怪を"食べて"売り歩く侍など、らしさ全開の世界観。著者初見の方にも満を持してオススメできる1冊。
45. おふろどうぞ
渡辺ペコさんの短編集。
渡辺ペコさんは「にこたま」と「1122」しか知らないんですよね。そのせいか不倫漫画しか描かない人という認識があったのですが…まあ当たらずも遠からずでした。
オススメは不倫も浮気も性欲もセックスも出てこない「サボリ風呂」。
ちょっとアンラッキーな1日をお風呂で流すシンプルなお話。
その他はまあ通常運転で痴情の縺れが中心ですが、読み切りのためオチがパッタリとやってきて「え、終わり!?」となるのが面白い。
冒頭で挙げた2作でも垣間見える場面がありますが、この人地味にギャグセンスある。
46. あまなつ
新井英樹さんの短編集。
知る人ぞ知る、漫画界の怪物(今決めました)の新井英樹さんです。その執筆エネルギーは"怒り"。はけ口は読者。新井英樹さんの漫画が好きな人はドMであると断言できます。
オススメは関わった男の全ての理性を狂わせてしまう女「ひな」。
男たちの性欲もろ出しの執着はエスカレートしていき、やがて歯止めのきかない暴力兵器と化す。
人間の底よりもっと深く、さらに汚いところを汲み取ってやろうとする著者の勢いに苛立ちを隠せない…。
だが、そこが、最高。
頼りない彼氏がキツイ修羅場に巻き込まれる「こどもができたよ」もめっちゃ推せる。
47. 僕の小規模な失敗
著者・福満しげゆきさんの暗い学生時代。
僕が始めて福満しげゆきさんを読んだのがこの1冊でした。何が面白いってわけではないのですが、小さいコマを追い求めながら、気づけば2時間かけていっぺんに読破してしまった怪作。
心の闇に引き込むのが上手く、人ごとで済まない人生を送ってる読者をまとめて地獄に落とす。
背景の描き込みが凄まじい作者ですが本作は特に顕著で…って今見返すとやばいな。たぶん僕が知ってる漫画の中で1番レベルがおかしい。上手い。
説明不可の福満節に取り憑かれた諸君は続編である「僕の小規模な生活」も買ってくれ。
48. カワイコちゃんを2度見る
福満しげゆきさんの短編集。
ブラックユーモア全開の新しい世界観です。著者の自伝漫画では見ることのできないような可愛い女の子もたくさん登場します。…言い方ミスりました。
オススメは被害妄想が止まらない女の子が謎の宗教に勧誘される「僕の宗教に入れよ」。
ギャグの中に哀愁、ホラー、孤独感などメッセージが隠れていて、ただ笑って良かったでは終われない1冊。同じ短編集の「娘味」より僕はこっち派です。
49. セリー
類い希な個性と驚愕の世界観で注目を浴びる鬼才、渾身の新境地、SF詩篇。 生命活動に適さない外気、すべてが終末へ向かう世界で、その家で、彼と「彼女」は、本を読む。強靱で誠実なポエジーと圧倒的画才で、驚愕の才能が挑む新境地は、静謐で透徹したサイエンティフィック・フィクション。
森泉岳土さんの短編集。
短編集といいつつページの8割くらいは表題作「セリー」が占めています。温度が下がり荒廃していく世界の中で、屋敷に引きこもり本を読む生活を選択をした男と、ヒューマノイド・セリーのお話。
劇的な感情の揺らぎは見られないものの、確かにそこで生きたキャラクターの"想い"を残す1冊。
詩的な文章と独特の絵が良い。絶妙にバランスが取れている。amazonレビューで「読者が読むペースが一定になるようにコントロールされている」という感想があって、なるほどなと思った。
50. 夜毎の指先/真昼の果て
ハートフルしんみり系恋愛漫画の第一人者が「楽園」本誌で並行して展開した「姉弟もの」(夜毎の指先)と「少年→少年←少女」(真昼の果て)の連載2本に描きおろしを含めた全1巻。ハンディなB6判。 2014年1月刊。
仙石寛子さんの短編集。
姉弟での恋愛や幼馴染の男同士の恋愛、そして巻末にはOL同士の恋愛など、1冊でカオスを作り上げたすげぇ作家さん。
触れたら崩れそうな頼りない線で描かれる、若さを懸命に生きる少年少女。
救われたような失ったような、絶妙な着地点で読者の気持ちを揺さぶってきます。
僕は姉と弟の話が好きかなー。気持ちが透けてるのに決して動かない、姉のキャラクターが忘れられない。
51. ヒュプノス
高校一年生の相模は高校入学後、不思議な夢を見る。それは夢の中で変身し、見知らぬ「敵」と戦うというもの。
その特殊な「夢」は、「人類の侵略者との戦い」だった...!!
新鋭・成瀬乙彦が送るダーク青春ファンタジー!
睡眠中の夢の中だけで敵と戦い続ける、ちょっとGANTZと似た設定です。
話のスケールとか進め方とか、すごく新人っぽくて入り込めない部分もありましたが、なんか推してしまう作品。
敵の異形なデザイン、感情に呼応する力など、最終的に絵の迫力にねじ伏せられて好きになってしまった。
中学生の創作にノートに書かれたような1冊ですが、ちゃんと漫画として世に出したものはなかなか貴重だと思う。
52.
なないろ胞子:日暮キノコ短編集
日暮キノコさんの短編集。
「食う寝るふたり」と「モンクロチョウ」の日暮キノコさんです。この2作を並べてみてもおっとり夫婦の日常と男子高校生の性欲爆発なので一貫性がありませんが、短編集はどっちかというと「モンクロチョウ」寄り。
性欲×ちょいSFな話が多くエロバカな展開に笑ってしまうこともしばしば。
オススメは3回ビンタで1回キスという条件の関係が続く「ふれあい教室」。
女の子可愛くないです?久々に読み返しましたが。この人の作画はホントに欲求を掻き立てられる。意外とエロがキツイので苦手な人は注意。
53. 響子と父さん
長女の響子さんはイラストレーター。母親が旅行で留守中、インスタントラーメンばかり食べている父親が心配で、ついつい口うるさくなってしまう。一方の父親も年頃の娘が心配で仕方なく…。次女の春香は色々あって現在…行方不明。どこかで無事でいるのだろうか…?家族の落ち着かない日々は続く――。
「それ町」や「天国大魔境」で有名な石黒正数さんの家族コメディ。
1巻完結といったら「外天楼」だろ!ってまあそうなんですが、オススメしてる人いっぱいいたし僕はこっちで。
それ町と同様の、情報を詰め込まないクリアな紙面を生かした肩の力が抜ける会話劇が魅力です。
ことあるごとに良い事を言おうとして迷走していくお父さんが可愛い。
作中にあまり登場しない妹が主人公の「ネムルバカ」も買ってくれよな。
54. ライチ☆光クラブ

- 作者: 古屋兎丸,東京グランギニョル「ライチ光クラブ」
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
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■驚愕!戦慄!興奮! 二十年のときを経てふたたび幕をあける、美しき少年たちの残酷なる舞台。
■工場の煙に覆われた螢光町の片隅にある「光クラブ」と名づけられた少年達の秘密基地。その場所で、ある崇高なる目的のために作られた「機械」が目を覚ました。鳴り響く笛の音、狂気をはらんだ叫び声…。熱狂する彼らの目的とは!?「機械」の正体とは!?
今知ったのですが30年以上前の舞台をコミカライズした作品なんですねー。しかし古臭さは全く感じませんでした。
内容は「秘密基地を守れ!」「ゼラに従え!」「少女を捕獲しろ!」をモットーに動く9人の男子中学生たちの組織の話。
中2全開のオーラで読者を取り込み、初速からトップスピードで綺麗に突き抜けた作品。
ストーリーに捻りは少ないですが、圧倒的な絵の密度に呼吸を忘れる。ギャグ漫画みたいなホラー漫画。
55. となりのロボット
女同士、人間とロボット。そんな2人の恋は、不完全なのに真剣で、不器用なのにキラキラしてて、純粋なのに衝撃的で…。
キュートでピュアな2人の少女が贈る最高に愛しいガールズファンタジー!!
女性型ロボットに恋をしてしまった女子高生の話です。
百合漫画ってちゃんとしたのあんまり持ってないのですが、これは好きなやつ。「愛とは」というシンプルなテーマであり、重い設定を軽い作風でサラッと描いています。
体の作りは全部違うけど、気持ちを伝えたいし、分かって欲しい。
切ねえ〜。BLもそうだけどいろいろな障壁を乗り換えて成就する愛って最高だよな。解釈によるとも思うけど。
56. そっと好かれる
小田扉さんの短編集。
「団地ともお」の小田扉さんです。掲載誌はまたもや「エロティクスF」。本当にお世話になります。
ちょっとエッチですが、基本路線はおバカ。 読者を脱力させることに関して威名を轟かせている作者です。
こんな感じで楽しく生きれたらいいなと思う。
疲れてる時こそいかがでしょう…。
57. ちょっと不思議な小宇宙
小田扉さんの短編集。
こちらは比較的新しい短編集。絵もストーリーも著者のスタンスが確立されていて、より幅広い層に発信できる1冊。
オススメはゲームの思い出で人生を振り返る老夫婦「夫婦ゲーム」。
掴みバッチリのショートショートがギチギチに詰まってる。ハマったら「前夜祭」も良いですよ。後ろの方の短編集とか特に。
58. 神様がうそをつく。
七尾なつるは東京から転校してきた小学6年生。クラスの女子に無視され、サッカーチームの新任コーチともソリが合わない。そんな時、大人びたクラスメイト・鈴村理生の、誰にも言えない秘密を知ることに…。夕立、お祭り、「とうふ」という名の白い猫。小学校最後の夏。少年少女のひそやかな冒険が始まる。
これ読んだのが2年前かー。当時はまだ漫画にハマりかけの時期だったので、僕が全1巻を好きになったキッカケの1冊かもしれない。
シャープな人物線と形にとらわれないコマ割り、その計算された視線誘導の読みやすさに当時の僕は大きな衝撃を受けた。
まずヒロインの登場のさせ方が1000点では?
カーテンからふわっ…て。天才か。ストーリーはひと夏で完結する少年と少女の邂逅。ちっぽけな小学生が大きな事件に立ち会います。
なんか雰囲気が良いんだよ。1時間の映画にしてくれ。
59. 魔法はつづく
オガツカヅオさんの短編集。
ジャンル分けするとミステリーやホラー。どの話もオチに工夫が凝らしてあって、「これは錯覚?夢オチ?」と常に疑いながら楽しく読めた。
オススメは夜のジョギング中に人生の転機を知らせてくれる「よふさぎさま」。
これはラスト1ページで「えっ!?」ってなってすぐ読み返した。この手のドッキリ系の話は飽きずにずっと読める。ハートフルな人間模様も加えて描いているのも高ポイント。
ラストー。は
こちら
60. 雑草たちよ 大志を抱け
いつか、この日々を忘れたとしても、魔法の言葉が私を生かし続ける。
太眉に悩む寝ぼすけな女子高生・がんちゃんは、幼馴染みの高遠(たかとお)君に密やかな恋をしている。 しかし、彼からほかの女子への恋心を仄めかされて……。
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主役になれない、誰の目もひかない「雑草たち」の話。
これは良い1冊ですよ〜。それぞれのキャラクターに思いがあって、壁があって、希望があって。普通のキラキラした漫画からは味わえない視点の生活が確かに存在します。
序盤中盤は日常パートで終盤のエピソードからテーマを考えると「愛情」になるのかな。
なんか知らんけど僕の中のでの評価はめっちゃ高いです。うん。似たような青春を送ってるからかな。
以上です。
読み飛ばした方もちょっと読んでくれた方もありがとうございました。また機会があれば。