"漫画" "面白い""ランキング"

漫画に飽きるまで

漫画について

バトル・スポーツ・サクセスストーリー系漫画における、『読者が応援しやすい主人公』の描き方への考察

 

バトル・スポーツ・サクセスストーリー系漫画における、『読者が応援しやすい』主人公のポイントを2つにまとめて考えてみました。

 

魅力的な主人公とは

①何かに強い興味があり、それに関する目的を持っている

→作品の軸が分かりやすく、行動的で読者の視点として情報を集めるのに向いている

ほとんどの主人公が当てはまっているように思えます。無気力な主人公だと常に受け手になってしまって展開がワンパターン化してしまいますし、動機が曖昧で行動に対して読者が納得できなかったり、行動の都度で動機付けしていくのもテンポが悪くなってしまいます。

例に挙げてしまって申し訳ないですが、ジャンプの「仄見える少年(全4巻で完結)」は、主人公は霊を祓う力を持っていますが、利己的で面倒ごとを避ける性格で、格上の能力者である姉に怒られるのが怖いからという理由で一般人を守るために敵を倒していきます。恐ろしい敵を倒すという行動に対する動機が「姉に怒られるのが怖いから」というのは少し共感を得づらく、また自己保身的で応援しづらいように感じます。

 

改善案の例として「過去に姉を守れなかたトラウマで面倒ごとを避けていたが、ヒロインと姉の姿を重ねて再び戦う決意をする」など、敵を倒す→誰かを助けるための方がバトル漫画の主人公として共感を得やすいように感じます。本作は不気味な世界観が武器で一話目からそこへ着手していたのは素晴らしいと思いますが、主人公の目的を共感を得やすい形で最初に提示して、物語の立ち上げ部分をしっかり作った方が、より多くの読者を序盤で引き込めたのかなと思います。

何に興味があって、どこを目指すのか、物語の基盤として最低限一話目で欲しいと思ってしまいます(特にジャンプだと打ち切りの判断が早いため、出足が遅い作品を見ていると焦る)。

 

 

②人との関わりを大切にしている

→利己的に見えないように読者の印象を操作する

先ほどの①と被る部分もあります。バトル漫画は戦うこと=人を助けること、に繋げやすいので心配はありませんが、スポーツ・サクセスストーリー系の漫画は注意が必要です。以下、名作を例にやってみます。

利己的な「映像研には手を出すな!」→ひとりで思い通りの世界を表現するアニメを作りたい。

本来→自分の欠点を補ってくれる仲間と協力し(時に争い)ながら、理想のアニメを作りたい。

利己的な「サンクチュアリ」→政界のトップに立って日本の政治を変えたい。

本来→幼い頃に約束した友人と、一人は表から、もう一人は裏社会からトップを目指し、腐った日本の政治を変えていきたい。

 

上記のように仲間を絡めると利己的な印象は薄れて、読者が応援しやすい目的になります。「はじめの一歩(ボクシング)」「ブルーピリオド(画家)」「BLUE GIANT(ジャズ演奏家)」など、個人で突き進むジャンルは、それぞれ主人公以外の登場人物を深く掘り下げて、恩師や同期、ライバルといったキャラクターを立たせ、人との関わりの面を濃密に描くことにより、利己的に見えない工夫がされているように思えます。

よって多くの主人公は「俺が正しい」より、「(自分と)仲間を信じる」にした方が利己的に見えず、話が広がっていく期待を持てると思います。

 

 

以上です。ありがとうございました。

 

 

例に挙げた作品