漫画における紙面に対するコマ面積の割合について(読みやすい漫画を考える)
こんにちは。
5年くらい前から漫画を読んでいる者です。
今回は私が面白いと思った漫画に共通する
コマ割りについて書いてみたいと思います。
あくまで「私が面白いと思った漫画」に限定するものなので、一人の人間の妄想の範囲を出ないことを予めご了承ください。
基本となる3点はこちらです。
①ページ全体の印象(右上から左下への視線誘導)
②コマの大きさに対する情報量の調整(文字&表情)
③ページ全体の情報の種類の調整(文字or表情)
ひとつずつ資料を見ながら説明していきます。
①ページ全体の印象(右上から左下への視線誘導)
コマの大きさによって、視線を右上から左下に誘導します。
左下に大きな情報を置くと目立ってしまうので小さいコマで情報を絞り、勢い良く次のページに向かわせています。
しかし②.③の「コマの中身の情報」の方が圧倒的に重要なため、あくまで全体の外殻としての扱いです。
②コマの大きさに対する情報量の調整(文字&表情)
『文字』と『表情』という漫画において主軸となる大きい情報のどちらを優先するか、コマの大きさによって配分を決めています。
今回は個人的に情報量を振ってみました。
(大) → 3点
(中) → 2点
(小) → 1点
右上の合計値がコマの大きさと比例しており、小さいコマに情報を入れ過ぎていないことが分かります。
また表情は紙面に対するサイズではなく、正面から捉えて緻密に描いているかが基準となっています。
③ページ全体の情報の種類の調整(文字or表情)
文字を優先するコマ、表情を優先するコマを交互に配置して、読み手に抑揚を意識させます。
以上3点。
①ページ全体の印象(右上から左下への視線誘導)
②コマの大きさに対する情報量の調整(文字&表情)
③ページ全体の情報の種類の調整(文字or表情)→ 1ページ内の抑揚
これらは絵本や小説にはない漫画だけの技術だと私は考えているので、ここの技術を意識されてる作家様に出会うと興奮します。
それと同時に、今挙げた技術は漫画において小さな要素であり、「これができてるから面白い作品」とは限りません。私も含めて多くの読者は内容と絵柄の方を重視しています。
あくまで漫画を楽しむ見方のひとつですね。
さて、ここからは作品別に私が良いと思ったページを勝手に解説していきます。
- ①名作部門(鬼滅の刃、呪術廻戦、チェンソーマン、弱虫ペダル)
- ②抑揚上手すぎ部門(ハンターハンター、喧嘩稼業)
- ③吹き出しの使い方上手すぎ部門(水は海に向かって流れる、僕が死ぬだけの百物語、カムヤライド)
- ④構図上手すぎ部門(グラップラー刃牙、げんしけん、シオリエクスペリエンス、水上悟志短編集:宇宙大帝ギンガサンダーの冒険)
①名作部門(鬼滅の刃、呪術廻戦、チェンソーマン、弱虫ペダル)
話題作でやってみます。
②抑揚上手すぎ部門(ハンターハンター、喧嘩稼業)
情報の引き算が異様に上手い作家さんです。
③吹き出しの使い方上手すぎ部門(水は海に向かって流れる、僕が死ぬだけの百物語、カムヤライド)
吹き出しを視線誘導や情報の保管に使っている作家さんです。
④構図上手すぎ部門(グラップラー刃牙、げんしけん、シオリエクスペリエンス、水上悟志短編集:宇宙大帝ギンガサンダーの冒険)
コマ割りとは別に構図で視線誘導と抑揚を意識している作家さんです。
以上です。
書いていて楽しかった。ありがとうございました。