鬼滅の刃が流行った理由について漫画オタクが考える
どうもー。
鬼滅人気すごいですねえ。
・コミックスが本屋から姿を消す
・掲載最新話がトレンド入りする
「アニメが流行る」というのは幾度となく見ていますが原作(漫画)がここまで流行るのはちょっと前例を知らないです。
なぜ漫画が流行るのか。
漫画オタクとしてその技術の高さを考えてみました。
1. キャラクターの“作り”
2. 焦燥感を生むテンポ
3. 残酷さの演出
以上3点。
順を追っていきます。
1. キャラクターの作り
漫画はキャラクターが作れる天才のみが表現できる世界です。
冒頭や過去篇などでアクシデントを起こし、そこで人物の特異な立場、行動の動機を描く
↓
その際に人物の感情の振れ幅を最大限に表現し、読者を引き込む
↓
設定がぶれないようにセリフや仕草を考え、作者が演じる
ここまでが一般的な流れです。
しかし鬼滅は最後の“設定”という部分に、果てしなく細かなこだわりを感じます。
・キャラクターデザイン
まず目がいくのが髪型
これはメインキャラクター全てに個性があり、各々の性格を表現しています。
他にも面倒な柄の服装
後々に追加されますが刀
デザインを細かくするほどに作画のコストが増えていく中、1人のキャラクターにここまで詰め込むのは異様な愛に他ならないと思います。
これらの人格に基づく“統一された情報”により、読者が“興味を惹く入り口”を増やしています。
ちなみにこのキャラクターは1話に登場する
富岡義勇(とみおか ぎゆう)
という鬼殺隊の一員です。
…お気づきでしょうか?
・名前
竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
竈門 禰󠄀豆子(かまど ねずこ)
我妻 善逸(あがつま ぜんいつ)
嘴平 伊之助(はしびら いのすけ)
どれも初見で正しく読むのは難しく、それ故に一度覚えてしまうと忘れない、センスが光る命名となっています。
ここでもキャラクターを大事にしている様子がとても美しい。
2. 焦燥感を生むテンポ
読んでいて感じる“止まらない勢い”
私はモノローグの使い方にあると考えました。
鬼滅の刃にはよくキャラクターの心境を語るモノローグが出現します。
ここではキャラクターの心境も混じえながら同時に戦況を伝える。読者が滑らかに読むのを前提としたページです。
そのモノローグを踏まえた上で
初めて「相手に伝える」セリフが発生します。
ここで読者が手を止めるような印象に残る場面を作っています。
この“素早く読ませる”→“手を止めさせる”
と言った、緩急の連続こそ止まらないテンポの秘密だと考えます。本当に上手い。禰󠄀豆子がんばれ。
無論、素人の考察なのでその他の「読ませる技術」は山ほど存在すると思いますが、鬼滅という作品の大きな“特徴”にはなるのではないでしょうか。
3. 残酷さの演出
この作品の最大の魅力とも言える点が
敵である鬼も昔は人間であった
という設定です。
首を斬られた(負けた)鬼は最後に人間だった頃の記憶を振り返ります。
この鬼は最後に炭治郎に手を握ってもらい消滅。
人を食った鬼を“生かす”という選択肢はないものの、切り捨てる訳ではなく、その人生の終焉に向き合っていく姿勢が大きな感動を生む。
これは後半になるほど破壊力が増していき、作者の演出、キャラクターの作り込みを恨むほどに壮絶なドラマを描いています。
“残酷な世界を終わらせる”楽ではない正義だからこそ、多くのファンが応援し虜になってしまう一因なのではないでしょうか。
以上です。
お察しの通り私は大好きな作品なのですが、ハッキリ言ってここまで流行るとは思っていませんでした。
「尖った絵柄」と「長編に見えないストーリー」が理由です。世間にそれが認められたとなると、掲載誌次第でもっと人気になる作品が多数あると思います。
何にせよ“漫画文明”がより発展していることに変わりはありません。
最後に、著者の才能を確信できる短編集もオススメします。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。